2006年11月08日

まめさんからのいただきものSS

うちのSS「ラヴ・レター」を読んで作ってくれたSSです。
まめさん、ありがとうございます!(´∀`*)
私の方で前後半の2つに分けさせていただきました。すみませんー!


※ひっそりとフォーチュンな小窓のyukaさんに差し上げたSS「つぼみ」のネタも混じってます(照)

「with all the love and」


[1]

「パステル、久しぶりー! 元気?」
「会いたかったわ。パステル。頑張ってたみたいね」
今日は久しぶりに大親友のリタとマリーナが家に遊びに来てくれた。

私はパステル・G・キング。
かつては冒険者としてちょっぴり名を馳せたこともあったっけ。


パーティーは、私が19歳の夏に解散したの。
「謎の行商人」との決着をつけて、平和な日常に戻った頃、
口火を切ったのはキットンだったっけ。

「私はそろそろスグリのところに戻ろうとおもいます」


みんな黙っていた。
「謎の行商人」との戦いの後、みんな漠然とした未来が見えてきていたから
遅かれ早かれ、誰かが言い出すと思っていたし。

「うん。そうだね。もう戻らなきゃ。
ペルメナの人たちにも頼りにされてるんでしょ?」

医師のいないペルメナで、キットンの薬師としての知識はとっても役に立っているみたいで。

「みなさんと過ごした日々は私にとって宝物です。
永遠の別れではありませんから! また会いましょう!」

そしてクレイも。

「俺はやっぱり騎士団に入るよ。弱くて自分を守る術のない人たちを助けたい」

騎士団の仕事の中には、モンスターに襲われ、傷ついた人々や
親を亡くしてしまった子供たちを支援していく分野が出来たの。
クレイにはとても合っているよね。

「パステルは? トラップと一緒にドーマに行くんだろう?」

実はその頃、トラップとはすでに、そのぅ……、恋人関係だったから、
周りの人達には、当然トラップと結婚してドーマに行くものと思われていたみたい。


でも、私は悩んでいた。
いろんな気持ちが渦巻いていた。

みんながそれぞれの場所に散っていったころ、
私の気持ちをトラップに話したの。
「一緒には行かない」って。




私とルーミィとシロちゃん、3人でドーマにくればいい。
俺ん家はいっつも人が一杯だから今更3人くらい増えてもどーってことねーし。
トラップはそう言ってくれた。

でも私は迷っていた。

そして……


「私、トラップと一緒には行かない。……まだ、行けない」

トラップは黙っていた。怒るでもなく、私を見つめている。
その先言ってみ?
そんな感じにクイッとあごをしゃくった。

「トラップのことは大好きだよ。ずっと一緒にいたいと思ってる」

トラップはいまだ無言。

「でもね、……でも」
なんて言っていいかわからなくて口ごもっていると、トラップが口を開いた。

「小説の仕事して一人で生きてみたいっつーんだろ」

「な、何でわかったの!?」
「ばーか。おめーの考えてることなんざ、全部お見通しなんだよ」

ホントにトラップには隠し事は出来ないみたい。落ち込んだりした時、
最初に突っ込んでくるのは昔っからトラップだったなぁ。
慰めてくれるわけじゃないけど。


「ほんで、俺についてきたら甘えっちまうー、とか思ってんだろ」

はい。まったくそのとおりです。

突然両親を亡くして、全く無計画に冒険者になろうと思ってから、
ずぅーっとトラップ達に助けられてきた。
あの時、トラップとクレイに出会わなかったら、
ううん、その前にルーミィに会わなかったら、私はとっくに諦めていただろう。

その後も、あのパーティーだからやってこれた。
「世界を救った冒険者たち」
の一員に曲がりなりにも名を連ねることが出来た。

でも、ふと思う。私自身は何をしたんだろう?
私がいなくてもなんの影響もなかったんじゃないか。

そんな自己嫌悪に落ちてしまった。
クレイは優しいから
「パステルがいてくれて助かった」
って言ってくれたけど。

トラップは「ばーか。くだんねー事考えてんじゃねーよ」だった。


うーん、なんで私クレイを好きにならなかったんだろ?

ま、それはともかく。

「私に出来る事って何だろう」って思った時、それは「文章を書く事」だったの。

自分の足でしっかり立って、一人の大人として、「トラップの奥さん」とかじゃなく、
「パステル・G・キング」としてトラップの側に行きたい。

そんな事を一生懸命話した。

「……まあ、そんなこったろう、とは思ったぜ」
トラップはひょいと肩をすくめた。

「俺も冒険者としてはともかく、盗賊としてはまだまだだぁらな。
ドーマに来いっつったけど、俺もまだまだ修業中だし、正直どうすっかと思ってた」

トラップらしくもなく、しばらく言い澱んだあと、私の目を見てニッと笑った。

「ほんじゃ、競争な。俺が一人前になるか、オメーの本が売れるか」

自分で一人になるって決めたのに、いざそう言われると淋しくなってしまった。
涙がでそうになって堪えたら言葉も出なくなって、ただトラップをジッと見つめてしまった。

一瞬ひるんだような顔をした彼は私から目をそらしてボソボソとこう言った。

「あー、あれ、ちゃんと持っていけよ。1年くらい前にやっただろ?
……ユカの花。ちゃんと大事に育てとけよ」

「うん!」

そうして私はガイナへ。彼はドーマへ。それぞれの道を選んだんだ。

[2]へ続く


posted by うみ at 20:39| Comment(0) | TrackBack(0) | いただきもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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