2006年11月08日

まめさんからのいただきものSS・続き

※まめさんのSSの後半です。前半はこちら

[2]

「……たの? ちょっと! パステル? 聞いてんの?」
「あらら……。また違う世界に行っちゃったみたいね。小説家ってみんなこうなのかな?」


リタとマリーナのあきれたような声が聞こえて来た。
はっ!いけない、いけない。つい思い出に耽ってしまった。

「あ、ごめん、ごめん。何だっけ?」

「まったくもう、久々に遊びに来た親友二人をほっといて何違う事考えてるのよ」
「そういえば、クレイが言ってたわ。パステルが迷子になるのは、
方向音痴もあるけど、考え事をすると周りが見えなくなるせいもあるって」

う……、ちょっと、マリーナ、クレイと何の話してんのよ。

「だからごめんってば。何の話?」
「だからー、トラップよ」
リタが大きな目を輝かせながら言った。

「トラップ? トラップなら今週は冒険者組合からの依頼に借り出されてるよ。
来週には終わるから、そしたら家に来るって……」

「だぁーれがトラップの近況を聞いてんのよ。
そうじゃなくて、きっかけってどうだったの?」

はっ?? いったい何の話?

頭の上に一杯「?」が出てるのが見えたらしいマリーナが、クスクス笑いながら言った。

「パステルってば、ホント何も聞いてなかったのね。
私たちが聞いてんのはいわゆる『馴れ初め』ってやつよ」
「そうそう。トラップの奴、どうやって告ったのか、聞きたかったのよー」
「あの意地っ張りであまのじゃくなトラップが何て言ったか、
私もキョウミあるなぁ。かと言って遠回しじゃあ通じないだろうし」
「アハハ。そうだよね。あの頃、パーティーの連中はおろか、ウチの常連まで
みーんなトラップの気持ちに気付いてたのに、肝心の人が全然なんだもん」
「そうね。トラップは私の事が好き、とか的外れな事も言ってたし」

二人して私がいかに鈍かったかのエピソードを次々と披露している。

「「で、どうだったの?」」

興味津々の4つの瞳がクルンと私を見つめる。

「え……、そんなズルイよ。二人はどんなきっかけだったの?」

うろたえつつ反撃を試みると、

「私たちはもう話したわよねー」

「そうそう。聞いてないパステルが悪いのよ。
やっぱりストレートに好きダーとか?
結婚してくれ! だったりして」

……トラップでさえかなわない最強タッグに私が勝てる訳ないよね。

えーと、トラップの告白ねぇ。何て言ったっけ?

……あれ?


「無い」


私が言うと、二人が「はっ?」って顔をした。

「トラップに、好きだっとか言われたこと、無い」
「「……えぇっっーーー!?」」

「そ、そうなの? じゃあ、どうやって?」

どう……と言えば。

私がもうすぐ19歳ってころのクエストで、例によって私が迷子になってしまった。
そしてこれまた例によって捜しに来てくれたトラップに散々怒られた。

いわく、「自覚が足りない」「ボケーっとしてるから」「みんな休んでるのに俺だけ……」等々。

その時は自分でも情けない、と思っていたので、トラップの言葉がやけに身に染みてしまった。
「ごめんね?」

「んあ?」

「いつも迷惑かけて、ごめん。今度は探さなくてもいいよ。何とかして自力で戻るから」

情けないことに涙がポロポロ零れてしまった。

「ばーか。それが出来るくらいなら、はなっから迷わねーよ。
ま、仕方ねーだろ。ルーミィの面倒見るのはオメーの役目。
迷子の面倒は俺の役目ってことだろ。
っつーか、はぐれねー努力をしろ!」
ちょっと顔を赤くしながらぶっきらぼうに言うトラップが嬉しくて、
繋いだ手をツンツンと引っ張った。振り向いたトラップに、
「ありがとう、トラップ」
そう言ったら、不意に真顔になったトラップの唇が降って来た。


「ひゃあー。なんかいいじゃん」
「実力行使ってやつか。あいつらしいと言えばあいつらしいな」

そして驚いてる私に
「お、俺は謝らねーぞ! いい加減な気持ちじゃねーし。嫌なら嫌って言えよ!」
「……よくわかんなかった。嫌かどうか、もう一回してみてくれる?」
もちろん嫌じゃなくて。むしろ嬉しくて、幸せな気持ちになってしまった。
それが、始まり。

「さすが女の子版クレイ。天然殺し文句。トラップやられただろうなあ」
「ノルが、気がついたらラブラブになってた、って言ってたけど、そういう事だったのかぁ」

二人はやけに感激してウンウン頷きあってたけど。

「ズルイ! わたしも『好きだ』って言って欲しい!
そういえば、私のほうは結構言ってるのに、トラップは言ってくれてない!!」

今更ながら気付いたこの事実。なんかくやしい!

「でも、奴の場合、態度にでまくりじゃん」
「そうよね。パステルだって今まで不満はなかったんでしょ?あいつも照れ屋だしさ」

そ、そりゃそうだけど!
確かに今まで『態度』で示してくれてるけど!

「やっぱりちゃんと言葉で聞きたい! 来週来たら絶対言ってもらうんだから!」
「ま、頑張って」
無理だと思うけど。そんなニュアンスが感じられる二人の励まし(?)を受けて私は気合いを入れた。

で、結・から言うと。

私がトラップに口と駆け引きで勝てる訳がなかった。
何だか上手く話をそらせれている間にまた『態度』でごまかされてしまった。

……ま、嫌じゃないし、気持ちが信じられない訳じゃないんだけどね。

「でも、やっぱり言葉だって大事よね! まさか一生言ってくれないつもりかなぁ?」


そんなある日、リタから手紙が届いた。

『ヤッホー。パステル!
先日は、いろんな意味でごちそうさまでした。
また3人で集まりたいね!
ところで、《トラップに告白させよう計画》は上手くいった?

トラップのことだから、のらりくらりとごまかされてるんじゃない?

で、昨日、ウチにパステル宛の手紙が届いたの。
なんかちょっと古っぽいから、郵便やさんに聞いてみたら、
5年後に届く手紙企画なんだって!

しかも、差出人はトラップよ!
5年前、トラップがあなたにどんな手紙を書いたのか、ものすごーーーく興味があるなぁ。

もしよかったら、後で教えてね!』

そんなリタの手紙に同封されていたのは、少し黄ばんだトラップからの手紙だった。

そして……

私は念願のトラップの告白を受ける事ができた。

嬉しくて、顔がニマニマしちゃうのに、涙も出て来た。

トラップ、私は5年後の今も幸せに笑っているよ。
隣にいるのは、クレイでもギアでもない、私の大好きな人だよ。

これを見せたらあなたはどんな顔するのかなぁ? 捨てろって言うかなぁ?
でも、これは私の一生の宝物だよ。

間違いなく、リタとマリーナには言うなって言うんだろうね。

これを直接聞かせてくれたら、秘密にしてあげてもいいよ!


Fin.

作:まめさん

以下、まめさんからのメッセージです。
『うみさんの素敵なSSに感動して「好きに妄想してください」
の言葉に甘えてこんな妄想文を送ってしまいました。
始めはただうみさんのSS読んで、
トラップとパステルは付き合っているけど、具体的に言われたのは
この手紙だったら面白いなぁ、とか、
いきなりトラップのお嫁さん、とかじゃなく、
物語を書く、って夢を叶えて欲しいなぁ、
くらいの話だったのに、ダラダラと長くなってしまいました。
うみさんの素敵SSに傷がつかなければいいのですが。』


いえいえ、こちらこそ本当にありがとうございました♪

なお、ブログ掲載にあたって多少改行等変更しました。
それについての見辛さの責任は私にありますので、パチメッセなどで
お知らせください。


posted by うみ at 20:40| Comment(0) | TrackBack(0) | いただきもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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