2005年06月19日

未来の指定席2

※「フォーチュン・クエスト」((c)深沢美潮/迎夏生/メディアワークス/角川書店)の創作です。
トラパスですので、そのカップルはだめ、カップリング自体だめという方は
ご遠慮ください。










[2]
パステルは既に耳かきに集中していて、一言も話さないから
余計にこっちは色々、色々、色々と考えちまう。
視線を下にすると膝小僧がアップで視界に入ってくるから
おれはなるべく視線を上の方に泳がせていた。

と、ふいにパステルが口を開いた。
「どう?気持ちいい?」
き、気持ちいいだ?!
おまえは何言い出す……あ、耳かきね。
一瞬ものすごい動揺をしたものの、なんとか平静を保って答える。
「ん、まあ…」
でも、本音を言えばかなり気持ちよかった。
耳かきされてない方の耳辺りが。

おい、これって、かなり幸せなんじゃん?

ようやくそう思う程の余裕ができた頃、階下で話し声が聞こえてきた。
……。
クレイと旅館のおかみさんだ!
…もう帰ってきたのか。
やばい。
こんな状況見られたら、何言われるかわかったもんじゃねえ。

「おい、パステル。もう終わ…△※◎#!!」
この続きはおれの声にならない悲鳴で途切れた。
パステルのやつ、耳かきをどこまで入れやがったんだ!
痛みのあまり、あいつの膝から床に転げ落ちた。
「ご、ごめんっ!!痛かった? 大丈夫?!
あのっ、普段ルーミィの小さい耳しかやってないから
加減わかんなくて…」
おれは耳を押さえながらも、とりあえずよろよろと立ち上がった。
「…ったく。おまえに頼んだおれがばかだったよ」
「ごめん〜!今からは気をつけてやるから。
まだ途中なの。もう1回こっち来て」
パステルがおれの腕をつかむが、クレイが階段を上り始めた音がする。
おれは素っ気無く手をふりほどき
「次は耳から血が出かねないからな」
と足早に扉に向かい、取っ手に手をかけた。
後ろからはあきらめきれない様子のパステルが
「じゃ、いつかリベンジさせてよね!」
と声をかけてきたが、おれはヘラヘラ笑いだけを残し部屋を出た。

間一髪、クレイより先に部屋に戻る。
ふう。
……。
おれの頭ん中ではあいつの最後のセリフがリフレインしている。

よぉーし、言ったな、あいつ。
いつか絶対リベンジしてもらおうじゃないの。
おれはわずかばかり残っているさっきの感触を思い出し、
「いつか」は別に明日でもいいけどな…と一人つぶやいた。


Fin


posted by うみ at 08:25| Comment(0) | TrackBack(0) | FQ創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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