2005年07月15日

依頼1(Trap Version)

※「フォーチュン・クエスト」((c)深沢美潮/迎夏生/メディアワークス/角川書店)の創作です。
トラパスですので、そのカップルはだめ、カップリング自体だめという方は
ご遠慮ください。




※このSSはパステル視点の「依頼」SSのトラップ視点です。
こちらだけ読んでも話はわかるようになっていますが、パステル視点を
先に読むことをオススメします。





[1]
大体、マリーナの手紙が来た時点で内容を確かめるべきだったんだよな。
なのに、おれときたら、「パステルと二人」ってーのに惑わされて
のこのこと話を聞きに来ちまって……。


「ちょっと! ちゃんと聞いてた?」
マリーナが机越しに大きい声で話しかける。
「んな大声出さなくても聞こえてるって」
「じゃあ、いいけど。とにかく、何もないとは思うけど、もしも
パステルに何かあったら、依頼よりパステル助けることを優先していいから。
頼んだからね」
「そんなに心配なら、そもそも仕事の依頼なんかすんなよ。
大体な、あいつに他人の恋人のフリなんてどう考えたって無理だろ?」
そうだよ。何なんだよ、その依頼はよ。
しかも、おれはその見張りだと? 冗談じゃねえ。
「でも、パステル本人が受けてくれたのよ?」
……それだよ。
一人ずつ話を聞くって時点でも疑わなきゃいけなかったんだよ。
二人同時だったら、おれがいくらでもさりげなく中断させたのに。

そんな思いを知ってか知らずか、マリーナは
「パステル本人がいいって言ってるのに、トラップに断る理由は
ないと思うけど?」
などと言う。
こいつ、まさかそのために先にパステルと話したんじゃないだろうな……。
おれがこの依頼をよく思わないことを予想していた……とか。
まさか。
おれがちょっとひるんでいるとマリーナはさらに続けた。
「……それにね。今回パステルにこの仕事頼もうと思ったのは
何もパステルが、依頼人のいう女の子の条件に合ったからだけじゃないのよ」
「それ以上の条件があいつにあると思えないけどな」
詐欺って言葉から一番遠いやつだってことは、おれが保証する。

するとマリーナは満面の笑みで
「うん、だってパステルじゃないもん」
と言った後、おれを指差した。
「へ? おれ?」
「そ。最高の見張り番付き」
「はっ。それはどうかな。ちゃんと見張りするかどうかだって怪しいぜ」
おれはにやりとして言った。
マリーナが信じて不安になれば、この話もなしになるかもしれねえ……
と思いながら。

が、マリーナは不安がるどころか、不敵な笑みを返してきた。
「そうねえ。確かにトラップには今回の仕事はつらいと思うけど」
「は?」
どういう意味だよ。
「あぁ、ごめん。独り言、独り言」
舌を出して、すまして茶を飲みだす。
なんか引っかかる言い方なんだよな。
おれはちょっとばかし動揺する。
「……別につらいなんて言ってねえだろ。ばっかみてえ」
おれが机に足を投げ出して言うと、待ってましたとばかりにマリーナがたたみかける。
「あ、そ。つらくないならいいじゃない。
報酬もあるんだし、断る理由、ないわよね?」
くそ。
すっかりこいつのペースになってやがる。
仕方なく無言で頷くと、マリーナは満足そうに微笑んで
軽く付け足した。
「あ、そうそう。待ち合わせの時点から二人には恋人同士の
フリしてもらうから。手とかつないでもジャマしないでね」

……は?

と、その時、ドアの向こうからくぐもった声が聞こえてきた。
「パステルだけどー。もう、いいかなー?」
マリーナが上機嫌でドアを開けると、市場で時間をつぶしてきたパステルと
目が合った。
あいつの顔を見た途端、依頼内容を改めて思い出して、おもしろくない気分がぶりかえす。
「んじゃ、おれはアンドラスんとこ行くわ」
おれはあらん限りの不機嫌オーラを出した。
ちっとはこの不機嫌の理由に気づきやがれ。
「ええ?! もう? あ、明日の打ち合わせは?」
慌てるパステルを尻目にドアに向かう。
「んなの、ねえだろ。おまえが失敗しなけりゃ、俺の出番はないんだし」
打ち合わせなんか冗談じゃねえ。
おれは振り向きもせず、出て行った。

[2]へ続く


posted by うみ at 09:06| Comment(0) | TrackBack(0) | FQ創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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