2005年07月16日

依頼2(Trap Version)

※「フォーチュン・クエスト」((c)深沢美潮/迎夏生/メディアワークス/角川書店)の創作です。
トラパスですので、そのカップルはだめ、カップリング自体だめという方は
ご遠慮ください。










[2]
エベリンの中心にある広場。
ここが二人の待ち合わせ場所らしい。
見張るのもいやだが、見張らない間に何かあったらもっと我慢ならねえ
…なんて考えて、結局来ている自分が情けない。

とりあえずは遠めで待っていることにする。
しばらくすると、パステルがマリーナに借りたワンピースなんぞ着てうろうろし始めた。
なんだよ、あんな格好わざわざさせなくてもいいんじゃねえか?
おれは早くも落ち着かない思いになっていた。
と、パステルが逆側に振り向き、笑顔になる。
相手はあいつか。
ふん。
いかにも優しそうな笑顔しやがって。
二人は二言三言会話をかわすと、歩き出した。

マリーナが予言したように手をつないで。

なんなんだ!
手をつなぐ必要なんて別にねえだろ!
おれは今すぐ出て行って手をつないでる部分をひっぺがしたい衝動に
かられたが、ふとおれを捜すかのようにキョロキョロするパステルの視線に
入らないように慌てて隠れた。
できれば、ちゃんと見張ってたなんてバレたくねえ。
悪いな、パステル。

視線を避けた後は徐々に距離を縮めてついていき、
二人がオープンエアになっている喫茶店に入った頃にはかなり近くまで追いついた。
ここまで来れば、パステルも辺りを見回すなんて挙動不審なことはしないだろう。
二人はマリーナの指示通り、通りに面している席をとる。
おれは、あいつがイスをひいてもらって座ったのを確かめると
店のすぐ横の壁際にさりげなく立った。

そういう見かけ倒しのレディファーストにだまされんなよ。

おれは聞こえもしない心の声でパステルに話しかけていた。

少しすると、新たにイスをひく音がし、依頼人が話す声が聞こえてきた。
「ジョゼット、こちら話をしてたレティシア。……これで信じてくれるかな」
あぁ、そういやパステルの偽名はレティシアだっけ、と思い出す。
つまりは、お騒がせの張本人が来たらしい。
これで「うん」となりゃ、早々にお互い解放されるが、
当然と言えば当然のように元恋人とやらは引き下がらない。
「ふ〜ん。あなたが彼女?」
「……は、はい」

くっそう。なんでこんな会話聞いてなきゃいけねえんだよ……。
おれが壁際でそっと溜息をついている間にも会話は続く。

「あなたはクローゼのどこが好きなの?」
「ジョゼット、初対面でいきなりそんなこと聞かれたってびっくりすると思うよ」
依頼人がフォローしている。
そりゃ、そうだ。
あいつは座ってるだけって話だからな。
「そう? でも本当に好きだったら答えられると思うけど」
「彼女は……レティシアは人見知りするタイプなんだよ」
しっかし、この依頼人頼りねえなぁ。大丈夫かよ。
おれがそう思うと、案の定強気な声が聞こえる。
「へええ。じゃあ、そういう曖昧な質問はやめるわ。
クローゼの住んでる場所、言ってみて」
……このねーちゃん、完全にパステルを標的にしてねえか?
おれはだんだん不安になる。
「あら。つきあってる人がどこに住んでるかぐらい当然知ってるわよね〜」
さらなる敵の攻撃に、パステルの声は弱々しい。
「あの……、まだ……つ、つきあって間もないので……外でしか会ってないんです」
“つきあって”という言葉に心の奥がちくっとする。
嘘ってわかってても、おれには充分なダメージだな……。
ほんっと情けねえ。
おれが服の胸の辺りをぎゅっと掴んだ瞬間、信じられない言葉が
耳に入った。

「あ、そ。じゃあ、これで最後。
本当につきあってるなら、わたしの前でキスして見せてごらんなさいよ」

[3]へ続く


posted by うみ at 08:22| Comment(0) | TrackBack(0) | FQ創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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