2005年07月28日

星降る散歩[2]

※「フォーチュン・クエスト」((c)深沢美潮/迎夏生/メディアワークス/角川書店)の創作です。
トラパスですので、そのカップルはだめ、カップリング自体だめという方は
ご遠慮ください。











本当に今日は気持ちのいい日!
寒くもなく、暑くもなく、ほんのちょっとひんやりするかなっていう風が
時々優しく吹く。
上を見上げれば満天の星空。
クエストの移動中や野宿の時に、こんな星空を見ることもあるけど、
やっぱりどこかしら緊張してたりするから、こんなにリラックスして
星空をじっくり見るなんて久々かも。

……なんて、しばし浸って歩いていたら、ふいに横から声。
「何、ぼけーっとしてんだ?」
んもう!
トラップを見て睨む。
「ぼけーっとしてたんじゃなくて、星空見てたの!」
「うん、だぁら星空見てぼけーっとしてたんだろ?」
ぐっ……。
「いいじゃない!たまには星空見てぼーっとしたって」
開き直ったわたしを見て、トラップはにかにかと笑ってる。
ふんだ。
せっかくの素敵な気分が台無し!
もう、こんな奴気にしないでおこう!
そう思って、再び空を見上げたら、視界の右上の方で光が動いた。

「な、流れ星!!」
思わず叫ぶ。
「ね、ね!今あの辺に流れ星あったよね? 気づかなかった?!」
トラップの腕をとって興奮気味に訴えたんだけど、
「さぁ」
の一言。
「うわーーーっ。もったいない!お願い事できなかったぁー!!」
わたしが本気で悔しがると、トラップはあきれてるようだった。
「んな迷信まだ信じてるのかよ」
「いいじゃない。ロマンチックで」
トラップに『ロマンチック』なんてわかってもらえないと思ったけど、
意外に、トラップは少し間があった後で「ふーん」と頷いた。
うーん、わかってくれたってことかな……?
半信半疑でいると、トラップが急に
「あ!おい!流れ星!早く目ぇ閉じて祈れ!」
と叫んだ。
ええーっ?!
よくわかんないけど、とりあえず慌てて目を閉じ、お願い事をし……

?!?!

な、何? 今の?
なんかほっぺたに触った。
え? まさか、え? え? えーーーー?!

わたしが目を見開いてパニくっていると、トラップが笑った。
「今目ぇ閉じた時に虫くっつけた」

あ、一瞬トラップがほっぺたに……なんてバカなこと考えちゃった。
そうよね。そんなことある訳ないもんね。
虫だもんね。
虫……。

「きゃああああああああ!!!!」
ワンテンポ遅れて、わたしはものすごい叫び声をあげて
トラップにしがみついた。
「何すんのよおお!!取って!取って!取ってーーーーっ!!」
「……あぁ、まだ首んとこいるな」
「わーーーーっ!やだやだっ!!」
「んじゃ、じっとしてろ」
そう言われて仕方なく、声を出さずじっと立ってたら、
トラップはふいに顔を近づけ、わたしの首にふーーっと息を吹きかけた。

わたし達の横をすり抜ける涼しい風とは違う、体温を感じる風を。


「……飛んでった」
顔を近づけたまま、トラップがつぶやいた。
どうしてかわからないけど、顔がすごく熱くなったから、下を向いたまま
小さくお礼を言った。
「……あ、うん……。ありがとう……」

でもその直後、わたしから離れたトラップはすっかりいつもの調子に戻っていた。
「ふぅん。虫つけたのもおれなのに、素直じゃん」
あ、あーーーーっ!!
「そうだったーーー!!何よ、もうっ!!信じらんないっ!
なんでそんなことするのよーっ!」

まんまとわたしを罠にはめて、上機嫌なトラップはわたしより先に
スタスタと歩き出した。
「ちょっと!どんな虫くっつけたのよー!ヘンなのじゃないでしょうねー!」
慌てて追いかけながら、今頃気づいた。

トラップといる限り、ロマンチックな夜空なんて無理なんだ、って。

Fin


posted by うみ at 11:09| Comment(0) | TrackBack(0) | FQ創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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