2007年12月21日

[SS]もうひとつの 使命 

私の作品の中では一番甘々だと思います。
でも短めなのでさっくりと、どうぞ。

※「フォーチュン・クエスト」((c)深沢美潮/迎夏生/メディアワークス/角川書店)の創作です。
トラパスですので、そのカップルはだめ、カップリング自体だめという方は
ご遠慮ください。



もうひとつの 使命



最近、思うんだよね。

トラップと話してると楽しい。
トラップが他の女の子と話してるのを見るともやもやってする。

これってなんだろうって。
一瞬、もしかしてトラップのこと好きなのかなって思ったりしたんだけど
……まさか、ね。
だってもう、何年も一緒にいるのに今更そんなことある訳ないじゃない?
確か前にもこんな錯覚したことあったし、きっとまたそうなんだと思うけど、
でもやっぱりこうやって二人でお出かけしてると、なーんか心の底からふつふつと
嬉しい気持ちがわき出てきちゃうのは、なぜなんだろう。


「ね、これなんかどうかな。絶対ルーミィに似合うと思うんだなぁ」
明日のパーティ用プレゼントを調達しにきていたわたし達。
人垣をかき分けてようやく目当ての出店で絶好のポジションをキープした。
と言っても、毎度のごとく予算は限りなくゼロに近いんだけど。
その予算の中でもなんとか収まりそうなかわいいものを、と頑張って探してたら
かっわいい毛糸の帽子を見つけたんだ。
でも。
「あ? ……いいんじゃねぇの?」
赤毛の盗賊は、全然そんなテンションじゃないらしく、一瞬目を向けただけで
落ち着かなさそうに周りをキョロキョロ。
張り合いがないなぁ。
わたしといるの、つまんないのかな。
はぁぁぁ。
気にしない気にしない。

あ!
いいの見つけた!
「じゃあ、トラップにこれはどう?」
わたしがびろっと持ち上げると、トラップは眉毛をぴくつかせながら横目で睨んだ。
「……おめぇ、一応聞くがそれはなんだ?」
「え、もちろん、タイ……」
「だーーっ!おれは一生タイツなんか履かねーー!今すぐそれから手を放せ!」
「ふ〜ん。そこまで毛嫌いしなくても。ちょっと前までは“軽くて動きやすくて最高”なんて言ってたのに」
「忘れろ」
「じゃあ、トラップは何が欲しいの?」
「そりゃ、やっぱこういう時はボンキュッボンなおねーちゃんに囲まれてだなぁ」
「あっそ。勝手にして」
こんな人と話して楽しいなんて、ばかげてた。
人の熱気にもおされ、わたしは出店から一旦離れるようにプイと歩き出した。
そんな風に一人憤慨していると、トラップは後ろからついてくる。
振り返ってみると、手を出してニヤニヤしている。
「勝手にするにしても、楽しむにはやっぱりまずはアレが必要でしょう」
「あれって?」
「パステルちゃんったら、わかってるくせにー。ぐ・ん・し・き・ん」

あー、もう! あー、もう!!
わたしは思いっきりトラップの手をバチンと叩いた。
「ってぇぇぇぇ!」
「……軍資金なんてないの知ってるくせに! いいわよ、いいわよもう。
そんなに別行動がいいなら、トラップなんかどっか行っちゃえ!」
結局、わたしなんてどうでもよくて、単なるパーティの家計係なだけなんだ。
話してて楽しいなんて思ってるのはわたしだけなんだ。
そう思ったら、涙腺がじわじわと緩んでしまった。
泣くのも悔しいのに、泣けてくる。
トラップは困ったような顔をして、つぶやいた。
「んだよ。泣く程のこと言ったか?」
「……言ってない。なんでもない。トラップは関係ない」
周りに気付かれないよう抑えた嗚咽の間にそっけなく言う。
そう、彼にとってはいつもの軽い一言。
今まで何回も聞いた言葉。
それを軽く受け止められなくなってるわたしが変なんだ。
「関係ない訳ないだろ?」
トラップはムッとした顔で、真赤になった手をかざす。
「一応、盗賊にとって手は大事な商売道具なんだぞ」
言われて気づく。
「ごっ、ごめん! そうだった!」
「ま、おめぇに叩かれたくらいでどうにかなる軟な手じゃねえけどよ。
それに……」
トラップにしては珍しく、そこで言葉に詰まった。
思わず涙を拭くのも忘れ、トラップを見上げる。
と、視線をあさってにしたままトラップが意を決したように言葉を続けた。
「この手には他にも使命があるしな」
「使命?」
「そう。大事なものを守るっていう使命」
突然何の話をしだしたんだろう?
そんな風に思ってると、冷たい空気の間をぬって、トラップの手がふうわりと
わたしの体に回り込み、抱きとめられた。
「たとえば、こういうこととか」
もう片方の手でわたしの頭をくるりと包んでいるので、トラップの顔は
見えないのだけど。

「だから、W関係ないWなんて言うなよ」
少し上から降ってくる照れが混じったような彼の声を聞いていたら
わたしと彼の体が接触している部分がとろけるように熱く熱くなってきた。




こういうのって「負けた」っていうんだろうか。
それとも。


「落ちた」っていうんだろうか。


Fin.


posted by うみ at 01:18| Comment(1) | TrackBack(0) | FQ創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ホームページじゃなくてブログなんですが・・・。


私、最近フォーチュンクエストにハマりました!特にトラップに。
たま〜にトラップがパステルに優しくしてるところを読むと、
「いい感じだなぁ〜」って思っちゃうのです><
だからこのSS見たとき凄く感動しました!!
お話が本当のことみたいでドキドキします。。。
もっともっと読みたいです。
また書いてください。
Posted by 薔薇水晶 at 2008年08月17日 14:49
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